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クラウド型CMSとは?サーバー管理不要の仕組みとオンプレミス型との違い

クラウド型CMSとは?サーバー管理不要の仕組みとオンプレミス型との違い

「サーバー管理の負担を減らしたいが、クラウド型CMSのリスクも気になる」という担当者向けに、SaaS型CMSのメリット・デメリットと選ぶべき企業の条件をわかりやすく解説します。

Webサイトやホームページの運用で、サーバーの保守やCMSのアップデートに手が回らない。そうした課題を抱える企業で導入が進んでいるのが、クラウド型CMSです。CMSそのものをインターネット経由のサービスとして利用するSaaS型の提供形態をとるため、サーバーを用意せず、月額料金ですぐに使い始められる手軽さが支持されています。

一方で、データを自社で保有できない、カスタマイズに上限がある、提供元の判断でサービスが終了する可能性があるといった、クラウド型ならではの注意点も存在します。メリットだけを見て導入を決めると、数年後に移行や機能追加の壁に直面しかねません。

本記事では、クラウド型CMSとは何かという基本から、SaaS CMSのメリット、クラウドCMSのデメリット、HubSpot CMS・Studio・Wix・Squarespaceの比較、オンプレミス型との選択基準、情報システム部門のない中小企業への適性までを体系的に解説します。

1. クラウド型CMSとは

1-1. クラウド型CMSの定義と仕組み

クラウド型CMSとは、CMSの提供事業者が用意したサーバー上で動作し、利用者はWebブラウザから管理画面にログインしてサイトを作成・更新する形態のCMSです。ソフトウェアを購入して自社サーバーにインストールするのではなく、サービスとして利用する「SaaS(Software as a Service)」の考え方に基づいているため、SaaS型CMSとも呼ばれます。

利用者が契約するのは、CMSのソフトウェアだけではありません。Webサイトを公開するためのサーバー、SSL証明書、CDN(コンテンツ配信ネットワーク)、バックアップの仕組みなど、Webサイトの運用に必要なインフラ一式がパッケージとして提供されるのが一般的です。

つまり、クラウド型CMSとは「CMS」と「ホスティング環境」と「保守運用」を、月額または年額の利用料でまとめて借りる仕組みだと理解すると分かりやすいでしょう。CMSのサーバー管理が不要になるという最大の特徴は、この構造から生まれています。

1-2. オンプレミス型・インストール型CMSとの違い

クラウド型と対になるのが、自社で用意したサーバーにCMSをインストールして運用するオンプレミス型(インストール型)のCMSです。WordPressやMovable Typeを自社契約のレンタルサーバーやクラウドサーバーに設置して使う形がこれにあたります。物理的に社内へサーバーを置く場合だけでなく、自社がサーバー環境の管理責任を持つ形態を広く含む点に注意が必要です。

両者の違いは、主に「誰がサーバーとソフトウェアの管理責任を持つか」に集約されます。オンプレミス型では、OSやミドルウェアの更新、CMS本体のバージョンアップ、障害対応を自社または委託先の制作会社が担います。クラウド型では、これらの作業を提供事業者が担い、利用者はコンテンツの作成と更新に集中できます。

その代わり、オンプレミス型は環境を自由に構成できるのに対し、クラウド型は提供事業者が定めた仕様の範囲内で使うことになります。管理負担の軽さと引き換えに、自由度や主導権を一部手放す関係にあると捉えておくとよいでしょう。

1-3. 「クラウド版」と「SaaS型」は同じではない

注意したいのは、「クラウド」という言葉が付いていても、提供形態にはいくつかの段階がある点です。パッケージ型CMSを事業者がサーバーごと提供する「クラウド版(マネージドホスティング型)」と、最初からクラウド上のサービスとして設計された「SaaS型」とでは、カスタマイズの余地や管理範囲が異なります。

1-3-1. マネージドホスティング型の特徴

マネージドホスティング型は、商用パッケージCMSを提供事業者のサーバー環境で動かす形態です。サーバー管理の負担は軽くなりながら、テンプレートの作り込みやプラグインによる拡張など、パッケージ型の柔軟性を一定程度残せるのが特徴です。セキュリティ要件が厳しい組織が、管理負担の軽減とカスタマイズ性の両立を図る選択肢として採用するケースがあります。

1-3-2. SaaS型の特徴

SaaS型は、すべての利用者が同じ基盤を共有し、機能追加やセキュリティ対策が一斉に適用される形態です。HubSpot CMS、Studio、Wix、Squarespaceはこちらに該当します。本記事で扱う「クラウド型CMS」は、主にこのSaaS型を指しています。

CMSの種類全体の分類や業種別の選定基準については、「CMSの種類と選び方 業種・規模別の選定基準と導入フローを解説」で詳しく解説しています。

2. クラウド型CMSのメリット

2-1. サーバー管理不要で運用負荷を大幅に軽減できる

クラウド型CMSの最大のメリットは、CMSのサーバー管理が不要になることです。オンプレミス型では、サーバーの契約・設定、OSやPHPなどのミドルウェアの更新、ディスク容量の監視、アクセス急増時の負荷対策など、Webサイトの裏側で多くの技術的な作業が発生します。クラウド型であれば、これらはすべて提供事業者の管理範囲に含まれます。

社内にサーバーの知識を持つ担当者がいない企業にとって、この違いは非常に大きなものです。たとえば地域密着型の飲食チェーンでは、店舗情報やメニューの更新は店舗運営の担当者が兼務で行うことが多く、サーバー障害やバージョン更新に対応できる人材を確保するのは容易ではありません。

クラウド型CMSを選べば、担当者は管理画面からのコンテンツ更新に集中でき、技術的なトラブル対応に時間を取られることが少なくなります。Web担当者が少人数の企業ほど、運用負荷の軽減効果を実感しやすいでしょう。

2-2. セキュリティ更新とバックアップが自動で行われる

オンプレミス型CMSでは、脆弱性が公表されるたびにCMS本体やプラグインを更新する必要があり、対応が遅れるとサイト改ざんや情報漏えいのリスクが高まります。クラウド型CMSでは、こうしたセキュリティ更新を提供事業者が基盤全体に一括で適用するため、利用者が個別に対応する必要がありません。

多くのサービスでは、SSL証明書の自動発行・更新、DDoS攻撃への対策、WAF(Webアプリケーションファイアウォール)による防御、定期的なバックアップが標準で提供されています。専門のセキュリティ人材を抱える事業者が監視を行うため、中小企業が自前で整えるよりも高い水準の防御を得られるケースも少なくありません。

医療機関のホームページのように、診療時間や休診のお知らせを確実に届ける必要があるサイトでは、改ざんや長時間の停止が利用者の不利益に直結します。セキュリティ対応の抜け漏れを構造的に防げる点は、クラウド型CMSの大きな安心材料です。

2-3. 月額課金で初期費用を抑えて導入できる

クラウド型CMSは、月額または年額の利用料を支払う料金体系が基本です。サーバーの調達やCMSライセンスの購入、環境構築といった初期投資が不要なため、導入時の費用を抑えられます。無料プランや無料トライアルを用意しているサービスも多く、実際の操作感を確かめてから本契約に進めるのも利点です。

費用が毎月一定であるため、予算計画を立てやすい点もメリットといえます。オンプレミス型では、サーバー障害やCMSの大規模なバージョンアップ対応で突発的な費用が発生することがありますが、クラウド型ではこうした保守費用の多くが利用料に含まれています。

ただし、デザインの作り込みやコンテンツ制作を制作会社に依頼する場合は、クラウド型であっても別途制作費がかかります。「CMSの利用料」と「サイトの制作費」は分けて見積もりを確認することが大切です。

2-4. 短期間で公開でき、場所を問わず更新できる

サーバーの準備やCMSのインストール作業が不要なため、クラウド型CMSはサイト公開までの期間を短縮しやすい形態です。テンプレートを活用すれば、キャンペーンページや新規事業の告知サイトを短期間で立ち上げることも可能です。季節ごとに商品が入れ替わる小売業のように、スピードが求められる情報発信と相性が良いといえます。

また、インターネットに接続できる環境であれば、オフィスの外からでも管理画面にアクセスしてコンテンツを更新できます。リモートワークの担当者や、複数拠点に分かれたスタッフが共同でサイトを運用する場合にも、場所の制約を受けにくい点は利点です。

さらに、提供事業者による機能追加が継続的に行われるため、利用者は追加費用や移行作業なしに新しい機能を使える場合があります。AIによる文章作成支援やSEO設定の補助機能など、近年はクラウド型CMSの機能拡充のスピードが特に速くなっています。

3. クラウド型CMSのデメリット

3-1. データを自社で保有・管理できない

クラウドCMSのデメリットとして最初に理解しておくべきなのが、Webサイトのデータが提供事業者のサーバー上に保存され、自社で完全には保有・管理できないという点です。コンテンツ、画像、問い合わせフォームの回答データなどは、サービスの仕様と利用規約の範囲内で扱うことになります。

3-1-1. エクスポートできる範囲は限定的

多くのクラウド型CMSでは、ブログ記事やCMSのコレクションデータをCSV形式などで書き出す機能が用意されています。しかし、ページのデザインやレイアウト、フォームや会員機能などの仕組みまで含めて、別の環境でそのまま動く形で書き出せるサービスはほとんどありません。たとえばWixでは、CMSコレクションのCSVエクスポートには対応しているものの、サイト全体をほかのサーバーへ移す機能は提供されていません。

3-1-2. 社内規程や取引先の要件と衝突する場合がある

データの保存場所やアクセスログの管理について、社内規程や取引先との契約で厳格な条件が定められている場合、クラウド型CMSでは要件を満たせないことがあります。特に海外事業者のサービスでは、データが国外のサーバーに保存されるケースもあるため、契約前にデータセンターの所在地や準拠法を確認しておくことが重要です。

3-2. カスタマイズと機能拡張に上限がある

クラウド型CMSは、提供事業者が用意した機能と仕様の範囲で利用することが前提です。サーバーの設定変更やサーバーサイドのプログラム追加はできず、独自機能を組み込む場合も、提供されているアプリやAPI、埋め込みコードの範囲に限られます。

情報発信を中心としたコーポレートサイトやブランドサイトであれば、この制約が問題になることは多くありません。しかし、基幹システムと連携した在庫表示、独自ロジックによる見積もりシミュレーション、会員ごとに複雑な権限を設定するポータルなど、機能要件が高度になるほどクラウド型の限界に突き当たりやすくなります。

たとえば製造業で、製品検索ページに社内の製品データベースを連携させ、型番や仕様で絞り込める機能を実装したいといったケースでは、クラウド型CMSでは実現が難しい場合があります。将来的に必要になりそうな機能を導入前に洗い出し、そのサービスで実現可能かを確認しておくことが欠かせません。

3-3. サービス終了・仕様変更・価格改定のリスク

クラウド型CMSは、提供事業者の経営判断の影響を直接受けます。サービスの終了、機能の廃止、料金プランの改定といった変更は、利用者側でコントロールできません。実際に、Adobeが提供していたSaaS型のWebサイト構築サービス「Business Catalyst」は、2018年に提供終了が発表され、延長を経て2021年9月にサービスが停止されました。利用者は期限までにデータを書き出し、別の環境へサイトを移す必要に迫られました。

料金体系の見直しも珍しくありません。2026年にはSquarespaceが従来のプラン構成を再編し、HubSpotもContent Hubのプラン内容と価格を改定しています。プランの再編によって、それまで使えていた機能が上位プランでしか使えなくなるケースもあり得ます。

こうしたリスクに備えるには、提供事業者の事業規模や継続性を確認するとともに、万一の際に移行できる手段を確保しておくことが重要です。ドメインを自社名義で管理し、コンテンツの定期的なエクスポートを習慣化しておくだけでも、移行時の負担は大きく変わります。

3-4. 長期的には利用料が積み重なる

月額課金は初期費用を抑えられる反面、利用期間が長くなるほど総額は積み上がります。上位プランや追加ユーザー、ストレージやアクセス数の拡張オプションを組み合わせると、月額費用が想定を上回ることもあります。

たとえば複数の拠点を持つ不動産会社が、物件情報の更新を各店舗の担当者に任せるためにユーザー数を増やしていくと、1ユーザーごとの課金が積み重なり、年間費用が大きく膨らむ可能性があります。ユーザー単位で課金されるサービスでは、利用人数の見通しも含めて費用を試算する必要があります。

クラウド型とオンプレミス型の費用を比較する際は、月額料金の安さだけで判断せず、5年程度の運用期間を想定した総コストで評価することが大切です。オンプレミス型で発生する保守費用や障害対応費用も含めて比べることで、実態に近い判断ができます。

4. 主要クラウド型CMSの比較(HubSpot CMS・Studio・Wix・Squarespace)

ここでは、国内の企業サイトでも検討されることの多い4つのクラウド型CMSを、用途・強み・注意点の観点から比較します。料金は2026年時点の公開情報をもとにした目安であり、為替レートや契約形態によって変動するため、最新の金額は各社の公式サイトで確認してください。

4-1. HubSpot CMS(Content Hub)

HubSpot CMSは、マーケティング・営業・顧客対応を一元管理するHubSpotのプラットフォームに統合されたクラウド型CMSで、現在は「Content Hub」として提供されています。最大の特徴はCRM(顧客管理システム)との統合です。Webサイトの閲覧履歴やフォーム送信の情報が顧客データとして自動的に蓄積されるため、Webサイトを見込み顧客の獲得と育成の起点として活用できます。

料金は、Starterが1シートあたり月額7ドル程度から、Professionalが月額数百ドル規模(3シート含む)からといった体系です(いずれも年払い時の米ドル建ての目安)。A/Bテストやコンテンツのパーソナライズ、本格的なSEO支援機能はProfessional以上で利用できるものが多く、上位プランでは初期のオンボーディング費用が必要になる場合もあります。

BtoB企業がリード獲得と営業連携を強化したい場合には有力な選択肢です。一方、CRMやマーケティング機能を使わず、単純な情報発信が目的であれば、費用対効果が見合わない可能性があります。

4-2. Studio

Studioは、Studio株式会社が提供する国産のノーコードWebサイト制作プラットフォームです。デザインツールに近い感覚でレイアウトを細かく作り込めるビジュアルエディタを備え、制作から公開、CMSによる記事更新までを一つのサービスで完結できます。国産サービスのため、日本語フォントや日本語でのサポートが充実している点も強みです。

2026年時点のプランは、無料のFreeプランのほか、年契約時の月額でMiniが590円、Personalが1,190円、Businessが3,980円、Business Plusが9,980円となっており、より大規模な運用向けにEnterpriseプランも用意されています。リダイレクト機能やAPI連携など、企業サイトで必要になる機能は上位プランで提供されています。

デザイン性を重視するブランドサイトや、中小規模のコーポレートサイトに向いています。ただし、CMSで管理する記事の装飾やレイアウトには一定の制約があり、記事コンテンツを大量に移行する場合は事前の検証が必要です。

4-3. Wix

Wixは、イスラエルに本社を置くWix.comが提供する、世界的に利用者の多いクラウド型のWebサイト作成サービスです。豊富なテンプレートとドラッグ&ドロップの編集画面を備え、専門知識がなくても短時間でサイトを公開できます。2026年には、AIによるサイト生成と従来の編集画面を組み合わせた新しいエディタの提供も始まっています。

料金は、無料プランに加え、Light・Core・Business・Business Eliteの有料プランがあり、年払い時の米ドル建てでLightが月額17ドル程度、Business Eliteが月額159ドル程度です。予約管理やネットショップ、会員機能などをアプリとして追加でき、小規模事業者の多様な用途に対応できます。

一方で、前述のとおりサイト全体を別の環境へ書き出す機能はなく、移行時にはデザインを含めて作り直すのが一般的です。将来的にほかのCMSへ移る可能性がある場合は、その前提で利用範囲を決めておくことをおすすめします。

4-4. Squarespace

Squarespaceは、米国発のクラウド型Webサイト作成サービスで、洗練されたデザインテンプレートに定評があります。写真や作品を美しく見せるレイアウトが得意で、ブランドイメージを重視するサイトやポートフォリオ、小規模なオンラインストアで多く利用されています。

2026年にはプラン構成が再編され、年払い時の米ドル建てでおおむね月額16ドルから99ドル程度の範囲で複数のプランが提供されています。プランによってはネットショップの販売手数料が発生するため、EC機能を使う場合は料金と手数料をあわせて確認する必要があります。

WordPress形式でのエクスポート機能はありますが、書き出せるのは通常のページやブログ記事など一部に限られます。海外発のサービスであるため、日本語でのサポート体制や国内の決済手段への対応範囲も、導入前に確認しておきたいポイントです。

4-5. 4サービスの比較まとめ

4つのクラウド型CMSの特徴を整理すると、以下のようになります。

サービス提供元料金の目安(2026年・年払い)強み注意点向いているサイト
HubSpot CMSHubSpot(米国)Starter:1シート月額7ドル程度~/Professional:月額数百ドル規模~CRM連携・マーケティング機能・SEO支援上位プランは高額。HubSpot外との深い連携は開発が必要な場合ありBtoBのサービスサイト・リード獲得
StudioStudio株式会社(日本)Free:無料/Business:月額3,980円デザイン自由度の高さ・国産で日本語に強いCMS記事の装飾に制約あり。複雑な機能は要確認ブランドサイト・中小規模のコーポレートサイト
WixWix.com(イスラエル)Free:無料/Light:月額17ドル程度~手軽さ・豊富なテンプレートと追加アプリサイト全体を他環境へ書き出す機能はない小規模事業者や店舗のサイト
SquarespaceSquarespace(米国)月額16~99ドル程度洗練されたデザインテンプレートエクスポート範囲が限定的。日本語サポートは要確認ブランドサイト・ポートフォリオ・小規模EC

同じクラウド型CMSでも、得意とする用途は大きく異なります。HubSpot CMSやStudioの機能・費用・運用負荷を、オープンソース型のWordPressと横並びで比較した内容や、パッケージ型CMSのクラウド版の位置づけについては、「専任エンジニア不要の中小企業向けCMS比較 WordPress・Studio CMS・HubSpot」と「Movable Typeクラウド版とは?オンプレミス版との違いと導入メリット」で詳しく解説しています。

5. オンプレミス型との選択基準

5-1. データ管理とセキュリティ要件で判断する

クラウド型かオンプレミス型かを選ぶうえで、最初に確認すべきなのはデータ管理とセキュリティに関する要件です。個人情報や機密情報を扱うか、データの保存場所に指定があるか、アクセスログの保管期間や監査への対応が求められるかによって、選べる形態は大きく変わります。

官公庁・自治体、金融機関、大学などでは、情報セキュリティの基準や調達仕様のなかで、サーバーの所在地やセキュリティ認証、脆弱性診断への対応などが求められることがあります。このような要件がある場合、仕様が事業者に委ねられるSaaS型では条件を満たせないことが多く、オンプレミス型や、要件に対応したマネージドホスティング型が有力な候補となります。

反対に、公開情報が中心で個人情報をほとんど扱わない企業サイトであれば、クラウド型CMSでも十分なセキュリティ水準を確保できます。自社の要件が「厳格」か「標準的」かを最初に見極めることが、選択の出発点です。

5-2. 必要な機能とシステム連携の範囲で判断する

次に確認したいのが、Webサイトに求める機能と、外部システムとの連携の範囲です。お知らせやブログの更新、問い合わせフォームといった標準的な機能で完結するのであれば、クラウド型CMSで問題なく対応できます。

一方、基幹システムや在庫管理システムとのデータ連携、独自の検索機能、会員ごとに表示内容を出し分けるマイページなど、サーバーサイドでの処理が必要な機能がある場合は、オンプレミス型のほうが実現しやすくなります。教育機関で、学内システムと連携した申込みフォームや、在学生向けの限定ページを構築したいといったケースが代表例です。

現時点で必要な機能だけでなく、3~5年先に必要になりそうな機能も含めて洗い出すことが重要です。導入後に機能要件が膨らみ、クラウド型の上限を超えてしまうと、サイト全体の作り直しが必要になる可能性があります。

5-3. 運用体制と総コストで判断する

3つ目の判断軸は、運用体制とコストです。社内にサーバーやCMSの保守を担える人材がいるか、または保守を委託できる制作会社が確保できるかによって、現実的な選択肢は変わります。保守の担い手がいない状態でオンプレミス型を選ぶと、更新が放置されてセキュリティリスクが高まる恐れがあります。

コスト面では、クラウド型の月額利用料と、オンプレミス型のサーバー費用・保守費用・バージョンアップ費用を、同じ運用期間で比較します。小規模なサイトではクラウド型のほうが総コストを抑えやすい一方、ユーザー数やページ数が多い大規模サイトでは、オンプレミス型のほうが割安になるケースもあります。

運用体制とコストは切り離せない関係にあります。保守を外部に委託する費用まで含めて試算し、自社が無理なく継続できる形態を選ぶことが、長期的な安定運用につながります。

5-4. クラウド型とオンプレミス型の判断チェックリスト

ここまでの判断軸を整理すると、以下の項目に多く当てはまるほどクラウド型CMSが適しているといえます。

  • 扱うデータが公開情報中心で、保存場所に関する厳格な規程がない
  • 必要な機能が、お知らせ・ブログ・フォームなど標準的な範囲に収まる
  • 基幹システムなど社内システムとの連携予定がない
  • 社内にサーバー管理を担える人材がいない
  • 短期間でサイトを公開したい、または頻繁にページを追加したい
  • 初期費用を抑え、毎月一定の費用で運用したい

反対に、データ管理の規程が厳格である、システム連携や独自機能が必要である、長期にわたって大規模なサイトを運用するといった条件に当てはまる場合は、オンプレミス型やマネージドホスティング型を優先して検討するのが現実的です。

6. 情報システム部門のない中小企業への適性

6-1. クラウド型CMSが中小企業に向いている理由

情報システム部門を持たない中小企業にとって、クラウド型CMSは有力な選択肢です。最大の理由は、これまで述べてきたとおり、サーバー管理とセキュリティ対応を提供事業者に任せられることにあります。Webサイトの担当者が総務や営業と兼務しているケースでも、管理画面の操作を覚えれば日常の更新を社内で完結できます。

また、オンプレミス型では、担当者の退職や異動によってサーバーの契約情報や設定内容が引き継がれず、運用が止まってしまうことがあります。クラウド型であれば、管理すべきものがアカウントとコンテンツに集約されるため、引き継ぎの負担も比較的小さく済みます。

少人数で事業を運営する食品メーカーや小売店、地域のクリニックなどでは、Webサイトに割ける時間と人員が限られています。技術的な管理から解放され、商品情報やお知らせの発信に注力できることは、クラウド型CMSならではの価値といえるでしょう。

6-2. クラウド型CMSを選ぶべき企業の条件

クラウド型CMSを積極的に選ぶべきなのは、次のような条件に当てはまる企業です。

  • 情報システム部門や専任のWebエンジニアがいない
  • Webサイトの目的が、会社案内・商品紹介・採用情報・お知らせなどの情報発信である
  • 担当者が自分でページやブログ記事を更新したい
  • サーバー障害やセキュリティ対応の負担をなくしたい
  • 新規事業やキャンペーンに合わせて、スピーディにサイトを立ち上げたい
  • 月額の固定費として予算を管理したい

特に、Webサイトを「会社の顔」として整え、定期的な情報発信で認知や問い合わせを増やしたいという段階の企業には適しています。また、マーケティング活動と連動させたい場合はHubSpot CMS、デザイン性を重視するならStudioというように、目的に合わせてサービスを選び分けることで、クラウド型の利点を最大限に活かせます。

6-3. クラウド型CMSを避けたほうがよい企業の条件

一方で、中小企業であっても、クラウド型CMSが適さないケースがあります。取引先との契約で情報管理の要件が厳しく定められている企業や、Webサイト上で独自の業務システムを動かしたい企業は、クラウド型の制約に直面しやすくなります。

たとえば、BtoBの部品メーカーが取引先専用の発注ページを設けたい場合や、医療機関がWeb予約と電子カルテの連携を検討している場合などは、要件の確認が欠かせません。データの保存場所や外部システムとの連携可否によっては、オンプレミス型やシステム開発を組み合わせた構成のほうが適しています。

また、ページ数が数百を超えるような大規模サイトや、多言語・多拠点で展開するサイトでは、クラウド型のプラン上限や費用が課題になることがあります。自社の規模と将来の拡張計画を踏まえ、クラウド型が本当に最適かを冷静に判断することが重要です。

6-4. 導入前に決めておきたい出口戦略

クラウド型CMSを導入する際は、「いつか別のCMSへ移る可能性」を前提にした出口戦略を決めておくことをおすすめします。サービス終了や事業拡大による乗り換えは、どの企業にも起こり得るからです。

具体的には、独自ドメインを自社名義で取得・管理すること、記事データや画像を定期的にエクスポートして社内で保管すること、ページ構成やURL設計の資料を残しておくことが基本です。移行時にURLが変わる場合でも、旧URLから新URLへのリダイレクト設定ができるよう、ページ一覧を整備しておくと検索評価の低下を抑えられます。

出口戦略を用意しておけば、クラウド型CMSのデメリットであるデータの非保有やサービス終了のリスクを、実務上は大きく軽減できます。導入時の打ち合わせで、制作会社とあわせて確認しておくとよいでしょう。

7. クラウド型CMSの導入を成功させるポイント

7-1. 要件定義でクラウド型の制約を先に洗い出す

クラウド型CMSの導入で失敗しないためには、要件定義の段階で「そのサービスでできないこと」を先に確認することが重要です。テンプレートの見た目や操作のしやすさに目が向きがちですが、導入後に問題になるのは、必要な機能が実現できないことや、プランの上限に達してしまうことです。

確認すべき主な項目は、ページ数やCMSで管理できる記事数の上限、ユーザー数と権限設定の細かさ、フォームの項目や通知の柔軟性、外部ツールとの連携可否、リダイレクトや構造化データといったSEO関連の設定範囲などです。これらをサービスごとに比較し、自社の要件を満たすプランと費用を明確にしておきます。

要件を整理する過程で、クラウド型では対応できない項目が見つかった場合は、オンプレミス型への切り替えや、一部機能だけを別システムで構築する構成も検討します。最初から選択肢を一つに絞らず、要件に合わせて柔軟に組み合わせる視点が大切です。

7-2. 独自ドメインとSEOの資産を自社で管理する

クラウド型CMSを利用する場合でも、Webサイトの集客に関わる資産は自社で管理することが重要です。その中心となるのが独自ドメインです。サービス提供のサブドメインで運用していると、サービスを移る際にURLが変わり、それまでに積み上げた検索エンジンからの評価を引き継ぐことが難しくなります。

あわせて、Google Search ConsoleやGoogleアナリティクスなどの計測ツールも、自社のアカウントで設定しておきましょう。アクセス解析のデータを自社で蓄積しておけば、CMSを乗り換えた後も、過去の実績をもとにした改善を続けられます。

また、ページタイトルやメタディスクリプション、見出し構造など、SEOの基本設定がクラウド型CMSでどこまで管理できるかも確認が必要です。表示速度やモバイル対応はサービスによって差があるため、公開前に実際のページで計測しておくと安心です。

7-3. 制作会社に相談して選定の精度を高める

クラウド型CMSは手軽に始められる反面、サービスごとの細かな仕様の違いや、将来の拡張性まで見通して選ぶのは容易ではありません。複数のCMSの構築・運用経験を持つ制作会社に相談することで、自社の要件に合った形態とサービスを客観的に比較できます。

制作会社に相談する際は、クラウド型だけでなく、オンプレミス型やマネージドホスティング型も含めて提案を受けることが重要です。特定のサービスに偏った提案ではなく、データ管理の要件や運用体制、予算を踏まえた比較があるかどうかが、信頼できるパートナーを見極めるポイントになります。

さらに、サーバー構築やシステム開発にも対応できる制作会社であれば、クラウド型で実現できない機能が出てきた場合も、別の構成を含めて柔軟に提案を受けられます。CMS選定の段階から相談しておくことで、導入後の作り直しや追加費用のリスクを抑えられます。

8. まとめ

クラウド型CMSとは、CMSとサーバー環境、保守運用を月額の利用料でまとめて利用できるSaaS型のCMSです。サーバー管理が不要で、セキュリティ更新やバックアップが自動で行われ、初期費用を抑えて短期間で導入できる点が大きなメリットです。一方で、データを自社で保有できない、カスタマイズに上限がある、サービス終了や価格改定のリスクがあるといったデメリットも理解しておく必要があります。

本記事のポイントを整理すると、以下のとおりです。

  • クラウド型CMSは、サーバー管理とセキュリティ対応を提供事業者に任せられるSaaS型のCMSである
  • データの非保有、カスタマイズの上限、サービス終了リスクの3点が主なデメリットである
  • HubSpot CMSはCRM連携、Studioはデザイン性、Wixは手軽さと拡張アプリ、Squarespaceはデザインテンプレートに強みがある
  • オンプレミス型との選択は、データ管理要件・機能要件・運用体制と総コストの3つの軸で判断する
  • 情報システム部門のない中小企業には適しているが、独自ドメインの管理やデータのエクスポートなど出口戦略を準備しておく

クラウド型CMSが自社に合うかどうかは、Webサイトの目的や扱うデータ、必要な機能、運用体制によって変わります。
弊社では、システム開発やアプリ開発の事業も展開しているため、クラウド型CMSでは実現が難しい機能要件にも対応可能です。
要件に合わせたCMS選定でお悩みの際は、まずはお気軽にご相談ください。

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