コラムのイメージ画像

ホームページ制作・運用コラム COLUMN

CMSHubSpot CMSStudio CMSWordPress

専任エンジニア不要の中小企業向けCMS比較 WordPress・Studio CMS・HubSpot

専任エンジニア不要の中小企業向けCMS比較 WordPress・Studio CMS・HubSpot

専任のWebエンジニアや情報システム部門を持たない中小企業の担当者向けに、WordPress・Studio CMS・HubSpot CMSの特徴・費用・運用負荷・拡張性を比較し、自社に合ったCMS選定フローをわかりやすく解説します。

なお、CMSの種類全般や業種・規模別の選定基準については、「CMSの種類と選び方 業種・規模別の選定基準と導入フローを解説」で体系的に解説しています。

1. 中小企業がCMSを選ぶ難しさとよくある失敗

1-1. 「とりあえずWordPress」が合わない場合もある

WebサイトにCMSを導入しようと検討する中小企業の担当者がまず思い浮かべるのは、多くの場合WordPressです。国内外で圧倒的なシェアを持つWordPressは情報量が豊富で、制作会社への依頼も通じやすい選択肢です。しかし、「みんなが使っているから」という理由だけでWordPressを選ぶと、運用が始まってから想定外の課題が生じることがあります。

たとえば、小売業でブランドイメージを重視するサイトを運営している企業が、WordPressで構築したものの独自デザインの実装にコストがかかりすぎ、更新のたびにテーマとプラグインの競合が発生するといったトラブルは珍しくありません。また、製造業でリード獲得を目的としたBtoBサイトを運営している企業が、CMSとCRMを別々のツールで管理することになり、リードデータの連携や分析に工数がかかるという悩みも多く聞かれます。

CMSの選択は、導入した後の運用コストと業務効率に長期的な影響を与えます。最初の段階で自社の目的・運用体制・予算感に照らし合わせた選定を行うことが、後悔のないCMS導入の第一歩です。

1-2. 中小企業のCMS選定でよくある3つの失敗パターン

専任エンジニアや情報システム部門を持たない中小企業が陥りやすいCMS選定の失敗パターンには、主に以下の3つがあります。

  • 機能過多のCMSを選んでしまう:高度なマーケティング機能やCRM連携が充実したCMSは魅力的ですが、実際の運用で使いこなせなければコストだけが増加します。現在の社内リソースで対応できる範囲の機能を持つCMSを選ぶことが重要です。
  • 初期費用のみで判断する:CMSには初期の構築費用だけでなく、月額ライセンス・サーバー費用・プラグイン費用・保守費用など継続的なランニングコストが発生します。導入から3年間のトータルコストで比較することが賢明です。
  • 拡張性を考慮しない:現時点では不要な機能でも、事業の成長にともなってECサイトへの転換や多拠点展開・多言語対応が必要になるケースがあります。将来の拡張余地を見込んだCMS選定が長期的なコストを抑えます。

これらの失敗を回避するためには、「今必要な機能」と「将来必要になる可能性がある機能」を整理したうえで、3つのCMSを正しく比較することが重要です。

1-3. 比較対象とする3CMSの選定理由

本記事では、専任エンジニアを持たない中小企業に特に適した3つのCMS(WordPress・Studio CMS・HubSpot CMS)を比較します。これらを選定した理由は、いずれも管理画面の操作が直感的で、専門的なプログラミング知識がなくてもコンテンツを更新・管理できる設計になっているからです。

Movable TypeやPowerCMSは官公庁・大学・金融機関など高いセキュリティ要件と厳格なワークフロー管理が求められる大規模組織向けの選択肢であり、情報システム部門を持たない中小企業のコーポレートサイト用途とは主なターゲットが異なります。Shopifyについては、ECサイト特化型のプラットフォームであるため本記事の比較対象から除外しています。

2. WordPress(ワードプレス)の特徴と中小企業向けの評価

2-1. WordPressが選ばれる理由:豊富な情報量と高い拡張性

WordPressは世界のWebサイトの約43%で採用されているオープンソース型CMSです。国内でもコーポレートサイト・採用サイト・ブログ・ECサイトなど、業種を問わず幅広く活用されています。

中小企業がWordPressを選ぶ最大の理由は、情報の豊富さにあります。導入事例・プラグイン解説・トラブル対応など、日本語の情報がインターネット上に大量に存在するため、担当者が自力で問題を解決しやすい環境があります。制作会社の対応実績も多く、相見積もりが取りやすい点も実務的なメリットです。

また、無料のテーマや数万種類のプラグインを組み合わせることで、予約システム・会員機能・多言語対応・EC機能など、多様な機能をローコストで実装できます。事業の成長にともなってサイトに求める機能が増えても、拡張性の高さで対応しやすい点は長期的な運用においても大きな強みです。

2-2. WordPressのコスト構造:初期費用とランニングコスト

WordPressのソフトウェア自体は無料で提供されていますが、実際の運用には複数のコストが発生します。主なコスト項目を整理すると、以下のとおりです。

  • サーバー費用:共用サーバーで月額1,000円〜10,000円程度。アクセスが増えると専用サーバーへの移行が必要になる場合があります。
  • ドメイン費用:年間1,000〜3,000円程度。
  • テーマ費用:無料テーマも多数ありますが、高品質な有料テーマは5,000〜30,000円程度。
  • プラグイン費用:基本的な機能は無料プラグインで賄えますが、高度な機能には年額数千〜数万円の有料プラグインが必要な場合があります。
  • 保守費用:制作会社に保守を委託する場合、月額2万〜10万円程度が相場です。

初期構築費用については、シンプルなコーポレートサイトで30万〜100万円程度、機能要件が複雑な場合はそれ以上になるケースもあります。WordPressは「ソフトウェアが無料」というイメージが先行しますが、安全に運用するための保守コストは継続的に発生することを理解しておく必要があります。

2-3. WordPressの管理画面と更新のしやすさ

WordPressの管理画面は、長年の改良を経て直感的な操作性を実現しています。2019年に導入されたブロックエディタ(Gutenberg)は、段落・見出し・画像・ボタンなどのブロックをドラッグ&ドロップで配置する方式で、非エンジニアの担当者でもページレイアウトを視覚的に編集できます。

ただし、サイト全体のデザイン変更やレイアウトの大幅な修正はテーマのカスタマイズが必要であり、HTMLやCSSの知識が求められる場面があります。プラグインの更新や管理画面へのセキュリティ対応なども担当者が定期的に実施する必要があり、「更新するだけで完結」という運用とは異なる管理工数が発生します。

不動産業や医療機関のように、物件情報や医師紹介など特定の構造化コンテンツを大量に管理する場合は、カスタム投稿タイプの設定や専用プラグインの導入が必要になる点も覚えておくとよいでしょう。

2-4. WordPressのセキュリティリスクと保守の重要性

WordPressはオープンソースであるため、脆弱性情報が公開されやすく、攻撃者のターゲットになりやすいという側面があります。プラグインのアップデートを怠ったり、脆弱なパスワードを使用したりすると、不正アクセスやサイト改ざん・マルウェア感染のリスクが高まります。

中小企業でWordPressを安全に運用するためには、以下の保守作業を定期的に実施することが推奨されます。

  • WordPressコアおよびプラグインの定期アップデート:セキュリティパッチの適用のために月1回以上の実施を推奨
  • バックアップの定期取得:障害発生時の復旧に備え、週次または日次でデータをバックアップ
  • セキュリティプラグインの導入と設定:不正ログイン防止・WAF設定・ファイル変更監視
  • SSL証明書の維持管理:HTTPS化の継続的な維持

これらの作業を社内で対応できないケースでは、保守をプロに委託することが不可欠です。信頼できる制作・保守会社との長期的なパートナーシップが、WordPressの安定運用を支えます。

2-5. WordPressが向いている中小企業の特徴

WordPressが特に適しているのは、以下のような特徴を持つ中小企業です。

  • コンテンツ更新頻度が高い:ブログ記事・採用情報・お知らせなどを頻繁に更新する企業
  • 将来的な機能拡張が見込まれる:ECサイトへの展開・予約システムの追加・多言語対応など、サイトの機能拡張を見据えている企業
  • 制作会社への依頼がしやすい環境が重要:相見積もりや乗り換えのしやすさを重視する企業
  • コスト重視で初期投資を抑えたい:ランニングコストをコントロールしながら本格的なWebサイトを運用したい企業

逆に、保守対応に割けるリソースが限られている企業や、デザインの自由度を最大限に活かしたブランドサイトを目指す企業には、Studio CMSやHubSpot CMSのほうが適している場合があります。

3. Studio CMSの特徴と中小企業向けの評価

3-1. Studio CMSとは:ノーコードで実現する高品質デザイン

Studio CMSは、株式会社コードアンドウェブが開発したSaaS型のノーコードWebサイト制作・CMS管理ツールです。2026年現在、国内Webサイトにおける導入実績数で首位に立つなど、急速に利用が拡大しています。最大の特徴は、プログラミングの知識がなくてもピクセル単位の細かいデザイン調整が可能なビジュアルエディタを備えている点です。

従来のノーコードツールはデザインの自由度が低いという課題がありましたが、Studio CMSはPhotoshopやFigmaに近い感覚でデザインを作り込めるため、ブランドイメージを大切にしたい企業からも高い評価を得ています。デザインの制作から公開、コンテンツの更新管理まで、すべてのプロセスを一つのプラットフォームで完結できる点も、複数のツールを使い分ける煩雑さを避けたい中小企業に適しています。

3-2. Studio CMSのプランと費用:2026年時点の最新料金

Studio CMSは無料から始められる複数のプランを用意しています。2026年時点の主なプラン構成は以下のとおりです。

  • Freeプラン(無料):Studio CMSの基本機能を試せるプラン。独自ドメインの利用はできず、ページ上にStudioのロゴが表示されます。CMSアイテム数は100件まで。ビジネス利用には制限があります。
  • Starterプラン(月額約1,480円〜):独自ドメインを使用できる最初の有料プランです。シングルページサイトやLPの制作・公開に適しています。
  • CMSプラン(月額約2,480円〜):ブログや実績紹介など、CMS機能を本格的に活用したい場合に適したプランです。CMSアイテム数は2,000件まで。
  • Businessプラン(月額約4,980円〜):複数のコラボレーターとチームで制作・管理できる法人向けプランです。CMSアイテム数は10,000件まで。SEO設定・301リダイレクト機能なども利用可能です。
  • Business Plusプラン(月額約9,980円〜):セキュリティ強化(カスタムヘッダー・アクティビティログ)や、さらに大規模なサイト運用に対応しています。

※料金は年払い時の目安です。月払いの場合は割高になります。最新情報はStudio公式サイトでご確認ください。

中小企業のコーポレートサイトやサービスサイトには、Businessプランが最もバランスがよい選択肢となるケースが多いです。月額約5,000円程度の費用で、チームでの管理・SEO設定・CMS機能のすべてを利用できます。

3-3. Studio CMSの管理画面と更新のしやすさ

Studio CMSの管理画面は、デザインエディタとCMS管理画面が統合されており、制作から更新まで一貫した操作感で使用できます。デザインエディタはリアルタイムプレビューを見ながら要素を追加・変更できるため、「完成形を確認しながら作業できる」感覚が非エンジニアの担当者にも高く評価されています。

コンテンツ更新については、ブログ記事・事例紹介・スタッフ情報などをCMSダッシュボードから簡単に追加・編集できます。記事のカテゴリ管理・公開スケジュール設定・SEO設定(タイトル・メタディスクリプション・OGP)もGUI操作で完結します。

一方、WordPressのように数万種類のプラグインを活用した機能拡張は、Studio CMSでは対応できない領域があります。複雑な外部システム連携や、高度なカスタマイズが必要なサイトには、別の選択肢を検討する必要があります。

3-4. Studio CMSのセキュリティと保守負荷

Studio CMSはフルクラウド型SaaSであるため、サーバーの管理・セキュリティアップデート・バックアップといったインフラ管理はすべてStudio側が担います。担当者がWordPressのように定期的なバージョンアップやプラグイン管理をする必要がなく、保守負荷が大幅に軽減されます。

セキュリティ面では、HTTPS対応・DDoS対策・CDNによる高速配信がプラットフォームレベルで提供されており、個別に対応する手間がありません。Business Plusプラン以上ではカスタムヘッダーやアクティビティログによる追加のセキュリティ管理も可能です。

ただし、データはStudioのクラウド環境に保存されるため、オンプレミス環境へのデータ保持が義務付けられている業種・組織には適しません。また、サービス自体の仕様変更・料金改定・サービス終了リスクがSaaS型に共通する注意点として存在します。

3-5. Studio CMSが向いている中小企業の特徴

Studio CMSが特に適しているのは、以下のような特徴を持つ中小企業です。

  • デザインにこだわりたい:ブランドイメージを大切にし、洗練されたビジュアルのWebサイトを作りたい企業(アパレル・飲食・美容・クリエイティブ系など)
  • 保守・インフラ管理に割ける人員がいない:IT担当者がおらず、サーバー管理の手間を最小化したい企業
  • スピーディに公開したい:新規事業のランディングページやキャンペーンサイトなど、短期間で公開が必要なケース
  • コンテンツ更新を内製化したい:デザインを制作会社に依頼しつつ、コンテンツの更新は自社担当者が行いたい企業

一方、大規模なシステム連携・高度な権限管理・CRMとの統合などが必要な場合は、HubSpot CMSの検討が推奨されます。

4. HubSpot CMSの特徴と中小企業向けの評価

4-1. HubSpot CMSとは:CRMと統合されたマーケティング特化型CMS

HubSpot CMSは、マーケティング・営業・カスタマーサービスを一元管理するHubSpotプラットフォームの一部として提供されるクラウド型CMSです。現在は「Content Hub」という名称でCMS機能が提供されており、CRM(顧客管理システム)との完全統合がほかのCMSにはない最大の差別化ポイントです。

Webサイトを「集客・リード獲得・顧客育成」の一連のプロセスの起点として活用したい中小企業に適しており、特にBtoB企業のサービスサイトやインバウンドマーケティングに注力する企業での採用が増えています。訪問者がサイトを閲覧した履歴・フォーム送信・メール開封状況などのデータがCRMに自動蓄積されるため、Webサイトとセールス活動をシームレスに連携できます。

4-2. HubSpot CMSのプランと費用:2026年時点の最新料金

HubSpot CMSの機能はContent Hubを中心に提供されており、2026年時点の料金体系は以下のとおりです。

  • 無料プラン:基本的なCRM・ウェブサイトページ作成・フォーム作成・メール配信などが無料で利用できます。HubSpotのブランドロゴが表示される制限があります。
  • Starter(Content Hub Starter):1シートあたり月額約2,400円〜。独自ドメイン・HubSpotロゴ削除・基本的なCMS機能が利用できます。CRM・メール・フォームとの連携も含まれます。
  • Professional(Content Hub Professional):月額約54,000円〜。SEO推奨機能・多言語コンテンツ・A/Bテスト・ブログ・動的コンテンツパーソナライゼーションなど、本格的なコンテンツマーケティングに必要な機能がそろいます。
  • Enterprise(Content Hub Enterprise):月額数十万円〜。大規模組織向けの高度なコンテンツ管理・権限設定・カスタムオブジェクトなど。

※料金は為替レートや契約形態により変動します。最新情報はHubSpot公式サイトでご確認ください。

中小企業がHubSpot CMSの効果を実感するには、CRM機能と組み合わせたProfessional以上のプランが推奨されます。ただし月額費用が大幅に上昇するため、導入前に「CRM連携によるリード獲得コストの削減」が費用対効果に見合うかを慎重に検討することが重要です。Starterプランでも基本的なCMS機能は利用できるため、まず小規模に始めて段階的にアップグレードするアプローチも有効です。

4-3. HubSpot CMSの管理画面と更新のしやすさ

HubSpot CMSの管理画面は、マーケターが使いやすいUI設計になっています。ドラッグ&ドロップ操作でランディングページやブログ記事を作成でき、コンテンツ作成・公開・分析のサイクルをプラットフォーム内で完結できます。

特徴的なのは、コンテンツの作成画面にSEO推奨機能(キーワードの充足度チェック・メタタグ設定の助言・内部リンクの提案)が統合されていることです。SEOの専門知識がない担当者でも、システムのガイドに沿って作業することで、検索エンジンに評価されやすいコンテンツを作成できます。

また、A/Bテスト機能がCMS内で利用でき(Professionalプラン以上)、ランディングページや記事のCTR・CV率改善を数値ベースで継続的に進められます。コンタクト(見込み顧客)ごとのパーソナライズコンテンツ表示にも対応しており、サイト訪問者のステータスに応じて表示するメッセージを変えるといった高度な施策も可能です。

4-4. HubSpot CMSのセキュリティと保守負荷

HubSpot CMSはフルクラウド型のため、Studio CMSと同様にサーバー管理・セキュリティアップデート・バックアップはすべてHubSpot側が担います。24時間365日の稼働監視とWebアプリケーションファイアウォール(WAF)が標準で提供されており、中小企業でも高水準のセキュリティ環境を維持できます。

自動バックアップも備わっており、コンテンツの誤削除時の復元対応が可能です。情報システム部門のない中小企業でも安心して運用できる設計は、Studio CMSと共通する強みです。

一方、HubSpotへのデータ依存という側面もあります。HubSpot外のシステムへのデータエクスポートや、別のCMSへの移行を検討する際には、データ移行の手間と一定のコストが発生します。長期的なベンダーロックインのリスクを念頭に置いたうえで導入を判断することが推奨されます。

4-5. HubSpot CMSが向いている中小企業の特徴

HubSpot CMSが特に適しているのは、以下のような特徴を持つ中小企業です。

  • BtoB企業でリード獲得・育成に力を入れたい:問い合わせフォームからのリードをCRMで管理し、営業と連携したいBtoBサービス企業・士業・コンサルティング会社など
  • コンテンツマーケティングを本格化したい:ブログ・ホワイトペーパー・ウェビナー告知ページなどを活用したインバウンドマーケティングを推進したい企業
  • マーケティング担当者がいる:HubSpotのツールを使いこなすには一定の習熟期間が必要なため、専任または兼任でマーケティングに関わる担当者がいる組織に適しています
  • 既存のHubSpot製品を活用している:Marketing Hub・Sales Hubをすでに使っている場合、CMS機能を追加することでデータの一元管理とツールの統合が実現します

月額費用が高めの設定になるため、小規模なコーポレートサイトの単純な更新管理が目的であれば、WordPressやStudio CMSのほうがコスト効率に優れています。

5. 3CMS横断比較:判断軸ごとの整理

5-1. 管理画面の使いやすさ比較

非エンジニアの担当者がCMSを日常的に操作するうえで、管理画面の使いやすさは最重要の判断軸のひとつです。

  • WordPress:ブロックエディタ(Gutenberg)による直感的なコンテンツ編集が可能。ただし管理画面全体の構成はやや複雑で、プラグインが増えると画面が煩雑になる傾向があります。
  • Studio CMS:リアルタイムプレビューのビジュアルエディタが特徴で、デザインと更新を同じ画面で行える一体感があります。デザインに慣れていない担当者でも高品質なレイアウトを維持しやすいです。
  • HubSpot CMS:マーケターに向けた操作UIで、コンテンツ作成・SEO設定・分析が一画面内で完結します。機能が多い分、初期のセットアップと学習コストが他の2つより高い傾向があります。

日常的なコンテンツ更新のしやすさを最優先にするなら、Studio CMSかHubSpot CMSが優位です。複数の管理者で運用したり、細かいカスタマイズを重視するならWordPressが適しています。

5-2. 費用比較:初期費用・月額費用・保守費用

3CMSのコスト構造を比較すると、以下のような傾向があります。

  • WordPress:初期構築費用は30万〜100万円程度。月額のサーバー費用は1,000〜10,000円程度と抑えられますが、保守委託費(月額2万〜10万円程度)が加わると総コストは高くなります。社内でセキュリティ管理ができるケースでは、継続費用を抑えられます。
  • Studio CMS:初期費用は制作会社への依頼費のみ(サーバー費用は不要)。月額プラン費用はBusinessプランで約5,000円程度と低コストです。サーバー管理費が不要なため、トータルコストを抑えやすい選択肢です。
  • HubSpot CMS:無料〜Starterプランの範囲では低コストですが、CRM連携・MA機能を本格的に使うProfessionalプランは月額約54,000円〜となります。費用対効果を正確に検討するには、CRM活用によるリード獲得の改善効果も合わせて算出することが重要です。

純粋な月額コストで比較するとStudio CMSが最も低コストです。ただし、費用と得られる機能・サポートをセットで比較することが選定の本質です。

5-3. セキュリティ・保守負荷の比較

担当者の運用工数に直結するセキュリティ・保守の負荷を比較します。

  • WordPress:自己管理型(オープンソース)のため、定期的なコアアップデート・プラグイン更新・バックアップ・セキュリティ監視を自社または委託先で実施する必要があります。保守を怠ると不正アクセスや改ざんのリスクが高まります。
  • Studio CMS:クラウド型のため、サーバー管理・セキュリティ更新はすべてStudio側が担当。担当者の保守負荷はほぼゼロです。
  • HubSpot CMS:クラウド型のため、Studio CMSと同様にインフラ管理はすべてHubSpot側が担当。24時間WAF・稼働監視が標準提供されます。

保守リソースが限られた中小企業にとって、Studio CMSとHubSpot CMSはクラウド型ゆえの大きな優位性があります。

5-4. 将来の拡張性の比較

事業の成長や戦略の変化に対応できる拡張性を比較します。

  • WordPress:数万種類のプラグインにより、ECサイト・予約システム・多言語対応・会員機能など、ほぼあらゆる機能を追加できます。開発会社に依頼することで大規模なカスタマイズも可能です。拡張性は3CMSの中で最も高いです。
  • Studio CMS:ビジュアルデザインの自由度は高いですが、複雑な外部システム連携や高度なカスタマイズには限界があります。事業の規模が拡大して複雑な機能が必要になった際は、別CMSへの移行を検討するケースもあります。
  • HubSpot CMS:HubSpotエコシステム内での拡張性は非常に高く、CRM・MA・メール・広告・SNS管理などをシームレスに統合できます。ただし、HubSpot外のシステムとの深い連携には追加の開発コストが発生する場合があります。

「将来的にEC機能や予約システムなど多様な機能追加が必要になる」という場合はWordPress、「マーケティング機能を段階的に拡充したい」という場合はHubSpot CMSが拡張性の面で優位です。

5-5. 3CMS比較まとめ

以上の比較を整理すると、以下のようにまとめられます。

CMS管理のしやすさ月額コスト保守負荷拡張性向いているケース
WordPress
(設定が増えると複雑)

(プラン費用は低いが保守費が発生)
×
(自己管理が必要)

(プラグインで幅広く対応)
機能拡張重視・コスト重視・相見積もり優先
Studio CMS
(直感的なビジュアルエディタ)

(プラン費用が低い)

(クラウド型で管理不要)

(デザイン自由度◎、複雑機能は要確認)
デザイン重視・IT担当不在・スピード公開
HubSpot CMS
(マーケター向けUIで習熟必要)

(Professional以上で高額)

(クラウド型で管理不要)

(HubSpotエコシステム内)
BtoB・リード獲得・CRM連携重視

6. 自社に合ったCMSを選ぶための選定フロー

6-1. STEP1:自社サイトの目的と更新運用体制を確認する

CMS選定の第一歩は、「何のためにWebサイトを運用するのか」と「誰がどれくらいの頻度でコンテンツを更新するのか」を明確にすることです。

まず、Webサイトの主な目的を確認します。以下のいずれに近いかを整理してください。

  • 集客・ブランディング重視::コーポレートサイト・採用サイトとして、会社の認知度向上や信頼性の向上が目的
  • リード獲得・営業支援重視::お問い合わせ・資料請求・ウェビナー申し込みなど、商談につながるコンタクトの獲得が目的
  • 情報発信・コンテンツマーケティング重視::ブログ・事例紹介・技術情報の発信によるSEO強化と専門性の訴求が目的

次に、更新運用体制を確認します。「社内担当者が週1回以上コンテンツを更新する」という体制であれば、管理画面の操作性が重要な選定基準になります。「制作会社に年数回の更新を依頼するだけ」という体制であれば、更新のしやすさよりも拡張性やコストを優先しても構いません。

6-2. STEP2:予算とランニングコストの許容範囲を設定する

次に、3年間のトータルコストで予算を設定します。初期の構築費用だけでなく、月額プラン費用・サーバー費用・保守委託費用を含めたランニングコストを試算することが重要です。

一般的なコスト感の目安は以下のとおりです。

CMS初期費用の目安月額費用の目安保守委託費の目安
WordPress30万〜100万円程度サーバー費:1,000〜10,000円月額2万〜10万円程度
Studio CMS制作費:20万〜70万円程度プラン費:約5,000円(Businessプラン・年払い)不要(クラウド型)
HubSpot CMS(Starter)初期設定費用約2,400円〜/シート不要(クラウド型)
HubSpot CMS(Professional)初期設定費用約54,000円〜不要(クラウド型)

これらの試算をもとに、3年間の総費用を算出します。「安く見える」初期費用だけで選定してしまうと、ランニングコストで想定外の出費が生じる可能性があります。

6-3. STEP3:必要な機能要件を洗い出す

Webサイトに必要な機能を事前に整理しておくことで、CMS選定の精度が上がります。以下のチェックリストを参考に、自社サイトに必要な機能を確認してください。

  • ブログ・お知らせの更新機能(ほぼすべてのCMSで対応)
  • フォーム機能(問い合わせ・資料請求・採用応募)
  • SEO設定(タイトル・メタディスクリプション・サイトマップ・構造化データ)
  • 多言語対応
  • 予約システム・会員機能の実装
  • 外部CRM・MAツールとのデータ連携
  • EC機能(商品購入・カート・決済)
  • アクセス解析・ヒートマップとの連携
  • 複数担当者での権限管理

EC機能や複雑な外部システム連携が必要な場合はWordPressが最も柔軟です。CRM連携が必須要件であればHubSpot CMSが最適解です。シンプルな情報発信とデザイン重視であればStudio CMSが適しています。

6-4. STEP4:制作会社の提案を比較する

CMS自体の特性を理解したうえで、最後は「どの制作会社に依頼するか」が重要なステップです。同じCMSを使っても、制作会社によって構築品質・保守サポートの質・費用感は大きく異なります。

複数の制作会社に見積もりを依頼する際は、以下の点を確認することをおすすめします。

  • 希望するCMSの導入実績・構築件数
  • CMS導入後の保守サポート体制と対応速度
  • 同業種・同規模のWebサイト制作実績があるか
  • SEO対策・アクセス解析まで一貫して対応できるか
  • 担当者との相性と提案の質

特に「CMS導入後の保守サポート体制」は長期的なWebサイト運用の安定性に直結します。制作後の保守に対応できない会社に依頼すると、障害発生時に別の会社を探す必要が生じ、構造を把握していない状態での対応になるため余計なコストと時間がかかります。

7. CMS導入後に失敗しないための運用ポイント

7-1. 担当者のCMS操作研修を必ず実施する

CMS導入後に現場での活用が進まない原因のひとつに、「操作方法がわからない」という担当者のスキルギャップがあります。制作会社から引き渡しを受ける際には、以下の研修・ドキュメントの整備を依頼することが重要です。

  • 管理画面の操作マニュアル(記事投稿・画像更新・ページ追加の手順)
  • よくある操作のFAQドキュメント
  • 操作研修会の実施(対面またはオンライン)
  • 研修後の質問対応窓口の設定

特にWordPressでは、担当者のスキルに依存する部分が多いため、引き渡し時の研修が充実しているかどうかを制作会社選定の段階で確認しておくことをおすすめします。

7-2. 定期的なコンテンツ更新計画を立てる

CMSを導入しても、コンテンツが更新されなければSEO上の効果は発揮されません。導入前の段階で、以下の運用計画を立てておくことが重要です。

  • コンテンツ更新の担当者と頻度の設定(例:週1回お知らせを投稿、月2回ブログを更新)
  • コンテンツのテーマ設定とキーワード選定(SEO対策と連動させる)
  • 更新コンテンツの承認フローの確認(上長確認が必要な場合はCMSのワークフロー機能を活用)
  • 月次のアクセス解析によるコンテンツパフォーマンスの評価

コンテンツを継続的に更新することで、検索エンジンからの評価が高まり、中長期的な集客効果の向上につながります。「CMSを導入したのに成果が出ない」というケースの多くは、導入後のコンテンツ運用計画が不十分なことが原因です。

7-3. SEOを意識したサイト設計とCMS設定

CMS導入時には、SEOの基礎設定をあわせて行うことが重要です。特に以下の設定は、公開前に必ず確認しておきましょう。

  • 各ページのタイトルタグ・メタディスクリプションの個別設定:ページごとに最適なタイトルとディスクリプションを設定し、クリック率の向上と検索順位の改善を図ります。
  • XMLサイトマップの自動生成と登録:CMSが自動生成するサイトマップをGoogle Search Consoleに登録し、クロールの効率化とインデックス速度の向上を図ります。
  • 正規URL(canonical)の設定:重複コンテンツによる評価の分散を防ぐため、canonicalタグの設定を確認します。
  • ページ速度の最適化:画像の圧縮・キャッシュ設定・不要なプラグインの削除などによって、Core Web Vitalsのスコアを改善します。
  • 内部リンクの設計:関連するページ同士を適切にリンクで結び、検索エンジンのクロール効率とユーザーの回遊性を高めます。

これらの設定を制作段階から組み込むことで、公開後の検索流入を最大化できます。

8. まとめ

中小企業のCMS選びは、「知名度」や「シェア率」だけで判断するのではなく、自社の目的・運用体制・予算・将来の拡張性を総合的に考慮することが重要です。本記事で解説した3CMSの選定ポイントを改めて整理すると、以下のとおりです。

WordPressは、機能拡張性と情報量の豊富さが強みで、将来的にECサイトや予約システムなど多様な機能追加が見込まれる企業、複数の制作会社から相見積もりを取りたい企業に向いています。定期的な保守管理が必要な点を踏まえて、信頼できる保守パートナーとあわせて選定することが成功のカギです。

Studio CMSは、ノーコードで高品質なデザインが実現できるクラウド型CMSで、IT担当者がおらずインフラ管理の手間を最小化したい企業や、ブランドイメージを重視するデザイン主体のサイトに最適です。月額コストを抑えながら、セキュリティや保守の手間も省けるバランスの良い選択肢です。

HubSpot CMSは、CRMとの統合によるリード獲得・顧客育成に強みがあるBtoB向けのCMSです。月額費用は高めですが、マーケティング活動の一元管理と営業との連携強化を目指す企業にとっては投資対効果が高い選択肢になります。 自社に最適なCMSを選んだ後は、CMSの構築経験と保守体制が整った制作会社への相談が、スムーズな導入と長期的な成果につながる近道です。

フォー・クオリアでは、WordPress・Studio CMS・HubSpot CMSをはじめ各種CMSの導入・構築実績を持ち、Webサイト制作から保守・SEO対策・アクセス解析まで一貫してご支援しています。CMS選定や導入についてお悩みの場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

 まずはお気軽に
ご相談ください